ダウンリバー&クリーキングTIPS #1 『スローバッグ』
2012年11月15日 Yoshi
ダウンリバー&クリーキングTIPS第一弾は、おそらく一番馴染み深いレスキューギア、スローバッグの話。
注! ここでの案内は僕の個人的な考えであり、説明しきれない部分ももちろんありますのでご参考程度にとどめて頂ければと思います。もっと詳しく知りたい人はレスキュー3などのレスキュー専門家による最新の講習を受けてくださいね。
川下りのリスク低減に大いに役立つのがスローバッグ。 グループでダウンリバーする時にスローバッグ持っていない人はメンバーを助ける気なし?? あんまり一緒に下りたくはありません!?
スローバッグのメインの目的はもちろんご存じのはず。スイマーに向かって投げ、ロープをつかんでもらいレスキューすること。川の難易度に対してスキルが十分でないパドラーがメンバーに含まれている時は大半のパドラーが必ずスローバッグを携行していることと思います。ただ、ちゃんと投げる練習をしているかというと、ほとんどの人がそうでないかという気がします。今ぎくっとした人は、ぜひ実際に一度投げてみてください。目安としては12m程度先にパドルを置いてシャフトの部分にひもがかかれば合格です。
講習などでロープ投げてもらうと非常に多いのが・・・、
・目標に全然届かない人
・明後日の方向へ飛んでいく人
・ほぼ真上にあがって、目の前にポトリと落ちる人
・ひもの先を離しちゃう人
→→→ちゃんと練習してください!!
たまにある質問が『バウンドして目標に当たるのはありですか?』 → スローバッグが地面と同じように水面でバウンドすることはほとんどありません!
◆ロープの投げ方
ロープは大半の人にとって上投げの方が素早く遠くまでコントロールして投げやすいと思います。上投げ、下投げのどちらで もきちんと投げられるように練習しておけば、障害物などが邪魔している場合でも困ることが少ないでしょう。重いロープは上投げできませんので下投げに限定 されます。
ロープを投げる練習を好んで積極的にする人はあまりいないと思います。ロープ投げてるより、漕いでた方が楽しいですもんね。でも、毎 回ダウンリバーの前にちょっとだけ時間作って2~3投するだけでもずいぶん違うと思います。練習の回数を増やすために、ひもを袋から出さずに投げるのも有 りです。乾いてる時と濡れてる時では重さが全然違うのでなるべく濡らして練習しましょう。
実際に投げる時は、スイマーがロープをつかんだ後に自分が引っ張られて川に落ちたりしないよう足場をしっかりと確保すること。早いスピードで流されているスイマーがつかんでいるロープにはかなりの力で引っ張られます。他にも誰かいれば自分の体を確保してもらうなどももちろんありです。また、ロープを投げる時には出来る限り、スイマーがロープを飛んでくることを認識してから投げるこ と。パニックになったスイマーに投げロープをうまく取り扱えず不意に首に絡まったりしたら大変な事故が起こります。
◆ロープのしまい方
バッグの中にロープを戻す時のちょっとしたポイントを。ロープを肩にかけ先端は背後に袋は胸の前に構えます。両手の薬指と小指で袋の口をはさんで、人差し 指と親指でロープをつまみ、右手と左手を交互に袋の中へ送るようにしてロープをバッグに入れていくと早くしまえます。こちらも練習してみてください。 また、しまいながらロープに砂が詰まっていないか、傷んだりしていないかもチェックすると良いです。
◆ロープのメンテ
古くなったロープは予期せず切れます。レスキューしてる最中に切れたら責任重大ですね。ロープがなるべく傷まないように使用後はきちんと洗って砂や細かい石を落としましょう。
◆ロープの携行方法
大半のカヤッカーがロープをボートのスターンに入れていると思います。ただ、これでは必要な時に取り出すのに時間がかかるばかりではなく、スカウティング の時にいちいち取り出して持ち歩くのが面倒くさく怠りがち。しかし、身につけて持ち歩けば時間も手間もとらず常に携行しているため、多くのシチュエーショ ンですぐ使えるのはもちろんのこと、スカウティングからそのままレスキュー体制に入る場合もロープを取りにまたボートへ戻らずに済むので非常に実用的です。これ、実際に川で良くあります。
ただし、身につけて携行する際は十分な注意が必要。袋からひもが流れ出し、水中の障害物にひっかかり水中に ひきずりこまれたという事故が日本でも実際に発生しています。袋の口はきちんと閉じて知らないうちにロープが流れ出すという事が絶対にないようにしましょ う。また万が一そういったことがあった時のために携行用のベルトはバックル式よりもクイックリリース式の方が良いです。
◆ロープとナイフはセット
ロープを携行するなら必ずナイフも携行すること。ロープだけ持ってナイフを持っていない人のなんと多いこと。使用中のロープが体などにからまることは容易に想像できます。前述のような事故もあります。トラブルがあった時ロープを切れるよう必ずナイフも携行してください。
◆その他
スローバッグが出ているロープなどがループ状になっているとスイマーなどの手などがそのループに入ってしまい怪我をしたという事故も実際に報告されています。頻繁に起こる事故ではありませんが、ひと手間かけるだけでそのリスクは抑えられます。右の写真のようにループを小さくしたり、あるいはループそのもの をなくしてしまいましょう。
◆ロープの選び方
ロープをまだ持っていないという人、ロープが傷んでいる人、投げてみたらめちゃくちゃ投げづらかったなどの人が新調を検討する場合は以下ロープ選びの参考にしてください。
・重さ: カヤッカーが個人で装備するならきちんと投げられるものを!! 長い方が約役に立つとか、太い方が強くて握りやすいなどの理由で選んだスローバッグが重すぎて投げられないではお話になりません。太さ8mm以上で長さ20m以上ならかなり重いです。きちんと投げられる人はとても少ないでしょう。
・ 長さ: ロープを投げてコントロールされて届く距離は一般の女性や力の弱い男性なら10~15m、一般の男性なら15m程度、肩が強い人でもせいぜい 20mぐらいでしょう。 だからといって投げて届く長さが使う長さではありませんので長い方が役には立ちますが、その分重くなって投げづらいです。個人で 装備するおすすめは15mからせいぜい20m。
・太さ: 一般的に太い方がロープの強度が高いことが多く握りやすいですがかさばりって重くなります。細い物は握りにくいですが軽くてかさばりません。
・ロープ強度: 強い方がもちろん良いですが、レスキューのシステムや崖の登り降りの補助などに使ったりするのでなければ、一般パドラーの実用レベルではさほど気にすることはないと思います。
・袋の径: 袋の径が大きいほどバッグの中へロープを戻しやすいです。ただし腰につけたりする場合は、細い物の方が体にフィットします。
・袋の形状: 身につけて携行する場合もあるならベルト通しがついたものを。初めから体に装着するようにベルトが一体になったものなどもあります。
★スローバッグ、ヨシの一押し!
■NRS Pro Guardian Waist Throw Bag(プロガーディアンウエストスローバッグ)長さ16.8m/径6.3mm、ロープ強度1,182kg(素材:ダイニーマ)
・必要最低限の長さがあり、軽くてコンパクトで投げやすい。
・身につけて携行するための、スローバッグを収納できるバッグがついたベルトが付属。ベルトはもちろんクイックリリース式。
・袋の径が細めで腰に巻いて装着しても違和感が少ない。
・スローバッグをさらにふた付きのバッグに収納して体に装着するので、ひもが流れ出るリスクが低い。かつ収納バッグにはジッパーが付き、フタはベルクロ止めなので素早く取り出すことができる。
・強度が1,000kg以上あり、最悪の場合にやむを得ず崖の登り降りなどの補助に使うことも考えられる。
→頻繁にスカウティング必要となるようなチャレンジングな川下りや、クリークボーティングを楽しむパドラーの個人装備として非常におすすめです!
強度をそれほど必要としないと考えるならば、強度以外の仕様がプロガーディアンと同等のこちら。
■NRS Guardian Waist Throw Bag(ガーディアンウエストスローバッグ)長さ16.8m/径6.3mm、ロープ強度430kg(素材:ポリプロピレン)
★これらのロープは店頭に常備在庫しています。在庫切れの場合は月末締めに注文を締め切り、翌月10日ごろに御引渡しできるスケジュールで入荷しています。 お問い合わせはお気軽にどうぞ。 shop@r156.com
一般的なダウンリバーの際に一応持っておきたいという場合ならボート内に携行する前提でお値打ちなこちらもおすすめ。
■HIKO スローラインEXP15m、径8mm/ロープ強度620kg
・安くてコンパクト。必要最低限の長さを持ち、かつ軽くて投げやすいです。
・袋にベルト通しがついているので、別売りのベルトを使って身につけて携行することもできます。
注)ベルトなどを使い身につけて携行する際には、ひもが流れ出ないように十分な注意が必要です。
グループのリーダーならば、個人装備にプラスしてグ長めのロープを持つのもリスク低減に有効でしょう。
■SHAMANPRODUCTS Throw Rope 長さ25m、径?mm/ロープ強度800kg
■YAK レスキューライン 長さ20m、10mm/ロープ強度1,200kg
■ファイントラック スローバッグ20 長さ20m、径7.5mm/ロープ強度1,500kg
2012年11月15日